◆◇ SEM班 ◇◆ (51号館 地下2階)
千代田(M2)深瀬(M1)宮越(B4)
SEM班では・・・
低加速(3keV以下)の電子ビームを用いて,炭素などの
軽元素から成る物質(高分子や生体試料)の構造に関する
新しいデータの取得を目指しています。
SEMは走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)の略称で,試料表面の微細な構造や形態を観察するための装置です。試料表面を微小電子プローブでなぞっていき,各領域から放出される二次電子や反射電子を検出器で受け,その検出量を像のコントラストとしてTVモニタに映し出しています。また,二つの試料台がついており,上段の試料台は高分解能SEM,下段の試料台はSEMの光学系によるTED (透過電子回折法Transmission Electron Diffraction)に用いられています。
当SEMの特長は,始めにも書いた通り“低加速”の電子ビームを用いるということです。電子線による試料損傷が少ない利点を活かし,現在はグラフェン(単原子層膜)を試料とした実験を行っています。2010年度より,下段試料台の試料後方にSPA-LEED(Spot Analysis Low Energy Electron Diffraction)を搭載し,その光学系を用いて,透過電子波の干渉から生まれた回折パターンの強度分布を測定しています。回折パターンの強度は構造因子(=ポテンシャル分布のフーリエ変換)に依存しているため,回折強度をフーリエ変換すると,電子照射面の構造を復元することができるのです。このように,将来,回折像から実像を復元する回折顕微法の研究を進めています。
装置が稼動し始めたばかりということで,まさに今,その性能の評価・改良をしている最中です。これから多くの課題に直面すると予想されますが,それだけにやりがいがあり,学ぶことも多いと思います。
少しでも興味をもたれた方は是非足を運んでみて下さい★